調査⼿法
消費者が普段のお買い物のシーンでどのようにして商品を選んでいるか、棚に並んでいる商品の配置によって選び方が変わるのか、など疑問に思う事はありませんか？
今回は定性調査のインタビューと組み合わせて行われるシェルフテストについてご紹介します。
シェルフテストは、競合商品と共に商品が並んだ店頭の商品棚を再現し、対象者の購買行動を探る手法です。実際の店舗のように、対象の商品と競合商品とを一緒に並べることで、配置・パッケージの色味・文字の大きさなど、他の競合品と並べた際の見え方を知りたい時や、現行品と新パッケージ案でどちらがより選ばれるか、パッケージ変更をしても既存ユーザーに継続して選ばれるのかを確認したいなど、パッケージについて課題のある場合にシェルフテストは有効です。
また、シェルフテストをインタビューに組み込むことで、どうして選んだのか（選ばなかったのか）、棚を見ながら理由を聴取することができます。
インテージクオリス岩本町会場では、2種の棚を常設しています。
（左：冷蔵棚、右：常温棚）
シェルフテストの準備は下記になります。
・評価する商品（パッケージ）の準備
・一緒に並べる他商品の準備
・棚の準備（冷蔵棚or常温棚）
・値札の準備
・棚の配置の決定
・アンケート用紙の準備
対象者は棚の前に立ち、普段買い物をするお店の売り場だと想定してもらい、アンケートの回答をします。実施にあたっては、下記の点を考慮します。
・FGIであっても、商品棚の前に立つのは、一度に1～2人ずつが望ましい
・あまり考えずに普段の買い物と同じように回答してもらうようにする。時間をかけずに１人あたり30秒～1分程度で実施することが望ましい
・アンケート用紙に商品の画像を貼ると、せっかく棚があるのにアンケート用紙を見ながら回答してしまうので、商品画像は貼らずに、番号で表記することも選択肢の一つ。
【番号で表記する場合の例】
ただ、短時間で回答して頂かないといけないので、回答のしやすさなどから、あえてアンケート用紙に画像を貼る場合もあります。
その際は、ご案内の際に再度棚を見ながら回答してもらうように、アナウンスが必要となります
【商品画像で表記する場合の例】
インタビュー中にシェルフテストを実施することも多いですが、シェルフテストの前に実態や意識など色々な話を聞くことで、普段と行動が変わってしまう可能性があります。そのため、インタビュー開始前にシェルフテストを実施することもあります。そうすることでインタビュー時間を圧迫せずに対応することも可能です。
シェルフテストを行う場合、どのようになるか実施例を紹介します。
あるメーカーのハーブティの場合
あるメーカーが販売している定番ハーブティは既存顧客には継続して買ってもらえているものの、新規顧客の獲得に苦戦していました。今後は新規顧客の獲得に力を入れていこうと考えています。食事に合うという強みがあったのでそれを活かしつつ、新しいコミュニケーションを行うために、既存パッケージと新パッケージで比較評価をしたいと考えています。
そこで、既存顧客や今後ターゲットとなりうる潜在顧客に対して、新しいパッケージの受容性はあるかを確認しようとしました。
できるだけ実際の売り場に近い環境を作り、どのように商品を買っているのか見るために、実際の反応をリアルタイムにインタビューできるシェルフテストを行いました。
既存顧客は既存パッケージの商品を手に取りますが、新パッケージで食事に合うという強みが表現されていたことから、抵抗なく受け入れられていました。
潜在顧客は既存パッケージよりも新パッケージの方が魅力的に感じると答え、深堀していったところ、既存パッケージは敷居が高そうなイメージがあったが、新パッケージになってハーブティを手軽に楽しめるという印象を持っていました。
このように、シェルフテストを行っている最中の行動やアンケートの結果をインタビュー内で深堀することでパッケージの受容性や、購買行動がよく分かりました。
今回はシェルフテストについてご紹介しました。ご紹介した内容は、想定できることの一例となります。
（株）インテージクオリスでは、シェルフテストをはじめとした、さまざまな課題に応じた調査のサポートをいたします。
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※本記事の実施例のマーケティング課題等は全て架空であり、実在の企業とは一切関係はありません。
