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【事例】クオリスさん!新商品アイデアが思いつきません! ~マインド・アナロジーを使って一発解決~

2023.05.31
株式会社インテージクオリス リサーチ&インサイト部 五十嵐優美

タイトルにドキッとした人は求めていたものがマインド・アナロジーで見つかるかもしれません。今回は新商品アイデアを追い求めている担当者の例を用いて、マインド・アナロジーについて紹介していきます。マインド・アナロジーについての詳細はアナロジーでアイデア発想 生活価値の転換をご覧ください。

新商品アイデアが思いつきません!~マーケッター・風呂アイ~

こんにちは!風呂と申します。新卒で生活用品メーカーに入社し、現在所属しているのは入浴剤第一企画部です。新商品の企画だったり、そのための市場調査を行う部署で、日々同僚や先輩と切磋琢磨しながら働いています。

この部署に異動してきた当初は、自分で考えた商品を世の中に出せる!と思っていたけれど、現実はそうもいかず…。新商品の企画書を出しても、ボツボツボツ…。先輩が考えたアイデアが製品化されても、次の期で終売。既存商品のリニューアルに必要な業務をこなすばかりの毎日で、本当に消費者に必要とされている商品、売れる商品が分からなくなってきました。

他社さんは消費者にウケる商品だったり、ワクワクするような商品を発売していてすごいな~と思うばかりで、そういった商品はチェックするんだけど、0から1を生み出せるようなアイデアが私にはなくて。 皆さん!新商品アイデアが思いつきません!

消費者が求めていること

最近、なんか良いアイデアないかな~とマーケティングの本やビジネス雑誌を読むのですが、潜在ニーズやインサイトという言葉をよく見かけます。

弊社の既存商品は肩こり・腰痛解消だとか、疲労回復とか機能性をうたった商品が中心で、CMや店頭POPの文言も「今日の疲れは今日でリセット」「お風呂で全身回復」が多いです。
確かに、身体の不快感が無くなれば、その日や次の日のアクティビティを目一杯楽しめるだろうから、消費者ニーズから外れたことではないんだろうけど。でも、こういう顕在化したニーズって他社も気づいていて、すでに製品化されていたりもするし・・・。

消費者の潜在ニーズを満たすような入浴剤って何か作れないかな。入浴剤が消費者の生活に入り込んで、新しい習慣を生み出したり、生活に根付くようなものが理想…!

入浴剤企画担当者の悩み

企画会議まであと数か月に差し迫った中、どうにかアイデアのヒントが欲しかった私は、ネット検索で「定量調査、定性調査」の会社を探していました。今回はアイデアのヒントになれば良いと思い、定性調査で実際の消費者に話を聞いてみたく、ある会社にアポイントメントを取り付けました。定性調査専門の会社、インテージクオリスです。早速下記を相談してみました。

消費者が「これが欲しい」と自覚している商品やサービスは既に世の中にあふれています。入浴剤で言うと「発汗成分を使用」や「肩こり・腰痛に」とうたわれている商品が売り場に多くあり、これは「痩せたいから汗をかきたい」「日々の疲れを取りたい」というような顕在ニーズを満たすための商品です。

弊社が今後チャレンジしていきたい商品は「痩せてどうなりたいのか」「疲れを取ってどうしたいのか」など、その先にあるニーズを満たすようなものです。消費者が自分でも気づいていない意識や感情と紐づいた商品を作るために、最適な調査手法をインテージクオリスさんに相談してみました。

そこで、潜在ニーズを引き出すインタビュー手法として紹介されたのが「マインド・アナロジー」でした。

マインド・アナロジーの手法について説明してもらいました

マインド・アナロジーの手法を端的に言うと「すでにお気に入りのモノから連想して、コンセプトアイデアを出す」ことだそうです。消費者の価値観によりリアルに紐づいたアイデアが出たり、他のカテゴリーから連想するので新しい発想でアイデアが出やすいということらしく、まさに私が求めていたことでした!

やり方は、①対象者にお気に入りのモノ・コトのお気に入りの理由を語ってもらって、話を聞きながらインタビュアーがそれを上位概念(自分の生活にとってのメリット)、中位概念(欲する理由)、下位概念(どうだから実現しているか)に分けて構造化していきます。

次に②ターゲットカテゴリーの利用実態について聴取し、①と同じお気に入り構造を作成します。顕在化されているニーズを明らかにする目的があります。次の③で出たアイデアと比較し、そのアイデアが新しい物なのかどうか確認するために必要です。

③最後に①のモノ・コトで出た「お気に入りの理由」をターゲットカテゴリーに置き換えるとどうなるかを考えてもらうそうです。私は入浴剤のアイデアが欲しいので、ここで言うターゲットカテゴリーは「入浴剤」となります。

対象者から出たアイデアだけではなく、①の結果を元に、社内で③を行ってアイデアをさらに膨らませることもできるそうです。
注意することは対象者選定。アイデアを考えるのが得意そうな人やお気に入りのモノ・コトがターゲットカテゴリーに近すぎない人など、スクリーナーの回答結果から選んでいくのが成功のポイントらしい。
マインド・アナロジーについての記事を教えてもらったので、後でじっくり見ます!
アナロジーでアイデア発想 生活価値の転換

マインド・アナロジーの事例を見せていただきました

とは言っても、実際にどんな感じで進むのか知りたかったので、クオリスさんが社内で行ったときのマインド・アナロジー事例を見せてもらいました。

まずはお気に入りのモノ・コトについてたくさん語ってもらうということで、なぜにそれが好きなのか、気に入っているのか、自分の生活や気持ちにとっての良い事を出してもらいました。これがどうやって入浴剤につながっていくのか楽しみですね・・・。

次に現在の入浴剤についてどんな入浴剤を使っていて、どうしてそれがお気に入りなのかを語ってもらいました。
現在の入浴剤のお気に入りの理由は効能から想起されて、身体に対して作用することでした。その結果、自分を大切にしたい・できる(スッキリ、デトックス、いたわる等)という気分につながっていました。
なるほど・・・私たちが普段訴求していることは消費者に伝わっていて安心ですね。だけど、それはもう弊社でも分かっていて、製品として発売しているので次の価値構造からの発想転換に期待です!

最後にお気に入りのモノ・コトの価値構造を利用して、あったらいいなの入浴剤を考えてもらいました。

Aさんはいつもストレス解消に恵比寿のボクササイズに行っているそうですが、「恵比寿」からビールやそのシュワシュワ感のある入浴剤を発想しました。入浴剤には発汗や癒しを求めているAさんでしたが、この入浴剤には「楽しさ」を求めていて、普通のインタビューでは聞けなさそうな新たな発見がありました!

多肉植物がお気に入りのBさんは、交配することで自分好みの多肉植物が作れるというところから、自分の好きなものを作る過程を楽しめる入浴剤をアイデアとして出していました。既にある入浴剤を楽しむのではなく、「作っていく過程にも価値を見出していて、作るワクワク・使うワクワク両方を兼ね備えた入浴剤」という発想につながるんですね~。

海外旅行が趣味のCさんはそこから異国の屋台のような香りの入浴剤を発想していました。金曜日の夜の余裕感や、日常に海外旅行のようなエッセンスを加えることで、「仕事と休みの切り替えになって解放感が得られる」という入浴剤でした。

DさんはK-POPが好きで、特にライブで一緒に盛り上がってその場に没入できるところから、普通の「ストレス発散でシュワシュワ~」 というよりも 「もっと楽しくてもっとパチパチを体感できる 特別な入浴剤」「入浴タイムに、楽しさで没入できる入浴剤」を求めていました。さらに、K-POPに対して自分の生活を豊かにしてくれる感謝の気持ちから、お悩み系の話になってドクターフィッシュの効果に似たような入浴剤というアイデアも出ていました。

マインド・アナロジーで新たに発見したこと

4人の方の例を見た感想は「あ、機能的価値を訴求した商品じゃなくても良いんだな」でした。これまでは肩こり・疲れに効いてリラックスできるくらいの情緒しか見出せませんでしたが、それ以外の情緒(開放感、特別感、楽しさ等)を叶える入浴剤のアイデアが発見できそうで、感動しました!

しかも消費者の生活価値に紐づいているので消費者のニーズから離れずに済み、他のカテゴリーから連想するのでどん詰まりを解消できて、新しいアイデアが出そう!一般消費者にぜひマインド・アナロジーで聞いてみたいので、これから発注しますー!

※本記事の入浴剤担当者名、社名、部署名、マーケティング課題などは全て架空であり、実在の企業とは一切関係はありません。
※事例は社内調査を行ったものを掲載しています。

■調査実施概要
調査実施日:2023年4月12日(月)~5月18日(火)
調査対象者:株式会社インテージクオリス 社員 4人
調査手法:一人当たりアナロジーを使用したDIインタビューを実施
調査主体:株式会社インテージクオリス

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