調査⼿法
競合が多くて自社製品がどの商品と比較検討されているかが分からない、競合商品との差別化ポイントが消費者に伝わっているのかが分からない…新商品が日々市場に出回っていく中で、こんな悩みをお持ちではありませんか?商品が今どんな商品と比較してどのように捉えられているのかを知るために「グルーピング」を使ってみませんか?
今回は調査技法の一つである「グルーピング」について、紹介していきます。
グルーピングは定性調査で使用される調査技法のひとつで、題材となる商品に対して消費者がどのように知覚しているのか、イメージの視覚化をすることができます。例えば、あるチョコレートの売り上げが伸び悩んでいる理由を非購買ユーザーから聴取するときに、普段食べていない商品をイメージしてもらうことは難しいです。では、普段食べているチョコレートと比較したり、他のお菓子と比較したりしてみると共通点や相違点に気づくことができるかもしれません。商品同士を比較し、共通項や違いについて視覚化することができるのが、グルーピングの大きな特徴です。
日々市場では商品が生まれ続け、構造が変化していきます。例えばチョコレートは、各社たくさんの商品が生まれていて、競合がどの商品なのかは日々変わっていきます。また、消費者側も環境や価値観の変化で消費行動は変わっていきます。日々変化していく市場の中で、消費者の声を把握することが重要といえます。
そこで、グルーピングはいかがでしょうか。市場変化の中で現在購入選択時にどのような商品と比較検討されているのかがわかり、市場の中でどんな商品として知覚されているかを整理することができます。
今まで「カカオの風味」をウリにしてきたチョコレートに対して、さらにクオリティの高いチョコレートが他社で発売されたとしたら、ユーザーはより風味の良い方を購入するでしょう。このように、市場の中での競合との優位性は競合商品の参入によって日々薄まっていきます。
そこで、「カカオの風味」という優位性がなくなってもなお購入を続けているユーザーに、グルーピングによって競合商品との比較を行うのはいかがでしょう。例えば現在購入している消費者は「カカオの風味」よりも違う特徴に優位性を見出しているかもしれません。ユーザーの持つ潜在的なニーズを探ることができ、新たな優位性を見つけるヒントになるかもしれません。
今までにないカテゴリの商品を販売した際に、既存市場の何と同じような商品ととらえられているのかを知るために、グルーピングを使用することがあります。
例えば、もしチョコレートのジュースが販売されたとしたら競合となる商品は何でしょうか。また、消費者にはどんなイメージを持たれるでしょうか。価格帯や流通するお店が似ているお菓子と比較しグルーピングを行うことで、既存の商品とどんなイメージが共通しているかを明らかにすることができます。
Z社が販売している、チョコレート商品Aについて考えてみましょう。商品Aについて、商品情報やマーケティング課題、調査によって解決したい、明らかにしたい課題は下記のようになっています。
グルーピングを実施する際には、比較するための商品の選定を行い、参加者が見やすいようにホワイトボードや模造紙を使用します。フォーカスグループインタビューでは、参加者全員のイメージを共有しグルーピングを行っていきます。司会者は参加者の意見を取り入れながら、グルーピング図を作っていきます。
グルーピングによってチョコレート商品Aについて整理をしたSさん。インタビュー中に作り上げたグルーピング図や、参加者からの声を聞いていき、グループをまとめました。
グルーピングの結果から、現状を整理し今後の方向性について検討していきます。
例えば、商品Aに対して「非日常感」「一人のゆったりとした時間」というイメージが他の商品群と共通項として挙げられたとしたら、要素を今後のデザインや販売促進への方向性へ反映し提案していきます。
さて、グルーピングを使用することで、非購買ユーザーの知覚されている内容を明らかにすることができました。では、その後どのように課題解決に向けて進んでいくのでしょうか?
マーケティング課題の一つに、競合との差別化を図るべく商品のポジショニングを再設定することが挙げられます。例えばチョコレート商品では日々多くの新商品が出てきたり広告が展開されたりするなど、各社がアクションをしています。その中で商品の差別化ポイントや優位性を失うことは、売り上げの減少につながってしまいます。そこで、もともと市場の中の立ち位置として設定していたポジションを再設定することで、新たな優位性、差別化ポイントを打ち出すことができます。
ポジショニングの再設定の上で、定性調査や、定量調査を駆使することはもちろんですが、まず第1歩としてグルーピングを行うことで、競合商品と比較してどんな印象を持たれているのか、どこに価値を持たれているのかを明らかにすることができ、方向性を整理するために重要であるといえます。
今回は、定性調査におけるグルーピングについて紹介してきました。
㈱インテージクオリスでは、クライアント様の課題に応じてグルーピングをはじめとした調査技法を駆使しサポートいたします。また、課題解決のための企画立案からリクルーティング、調査運営や分析までをトータルで承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。(お問合せフォームはこちら)