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定性調査においては、最近特にオンラインインタビューの実施機会が増えていますが、岩本町の当社オフィスフロア内にあるインタビュールームでは、オンラインインタビューの一方で、オフラインのFGI(フォーカスグループインタビュー)やDI(デプスインタビュー)も実施しています。
当社のFGIルームでは、360度カメラという、従来にはない画期的なカメラを導入しており、インタビューを視聴するお客様に大変ご好評をいただいています。これからのインタビュー視聴の新しいスタンダードになりそうな、その360度カメラについて、ご紹介します。
この360度カメラには、大きく言うと三つの特長があります。
これらの機能があることで、たとえば複数の参加者がいるFGIの場合、発言者をカメラが次々に自動撮影するため、バックヤードなどでインタビューを見ているお客様や関係者・スタッフは、誰が発言しているのかをすぐに識別することができ、発言者の表情をアップで見ることができます。以下、これらの特長をご説明します。
一般的にFGIでは、円卓に4~6人程度の参加者を集めて実施します(現在は新型コロナウイルス感染防止のため参加者人数を最大4人にして実施しています)。この360度カメラは、円卓中央に作った専用の穴にカメラ1台を設置するだけで、参加者、モデレーター全員を撮影します。参加者一人一人の表情を撮るために複数のカメラを設置する必要はありません。
FGIルームの円卓中央の穴から頭を出しているように見えるのが、360度カメラです。
360度カメラを近くで見るとこんな感じです。巣穴から顔を出しているように見えますね。てっぺんの黒い部分に、360度撮影できるレンズがついています。
定性調査のご経験がある方はご存知かと思いますが、従来、FGIを視聴するスタイルといえば、ほとんど次のような感じでした。
このスタイルは、ほとんどのインタビュールームで採用されている基本的なもので、当社のインタビュールームにもこの環境・設備はあります。
しかし、ミラールームで間近な距離から見ないと参加者の表情まで見ることが難しい、ミーティングルームでは俯瞰映像のため発言者が誰かを常に目で追う必要があり、表情まではよく見えない、というのが一般的でした。
一方、この360度カメラの場合、カメラが音声に反応して自動的に発言者を追いかけます。発言者が変わるたびに、カメラはAさん→Bさん→Cさん、という具合に発言者を次々にアップで撮影します。そのため、ミーティングルームで大型モニター画面を見ている人も発言者の表情を常に見ることができるようになりました。
ここでご紹介する360度カメラで撮影した画像は、FGIの想定で社員をモデルにした映像の一コマです。上段には、円卓に着席している参加者とモデレーターが全員横一列に映し出されます。ここでは、モデレーター1人と対象者4人の合計5人という想定です。全員の画像の下に大きく映っているのが、今発言をしている人です。上段に映っている、右から2人目の人が発言をしています。
発言者が変わるたびに、カメラが自動追尾撮影をするので、発言者の表情がわかります。
360度カメラの、さらに大きな特長が、複数の発言者を同時に、分割表示する機能です。
複数の参加者が、続けて発言をするような場合、例えば、モデレーターが質問をした後に続いてCさんが発言をすると、モデレーターとCさんの声に反応して、2人の表情をアップした画面が分割表示されます。
さらに、続けてBさんが発言をすると、今度はモデレーター、Cさんに加えてBさんも含めた、3人の分割表示となります。テンポよく複数の人の発言が続く時は、最大で3人まで分割表示することができます。
2分割表示、3分割表示の画面切り替えは、すべてカメラが自動的に反応して行ってくれます。見ている人は何の操作も必要なく、とても簡単に発言者を識別し、かつ一人一人の表情を見ることができるのです。
当社のFGIルームには、天井に設置しているカメラのほかに、円卓中央にこの360度カメラがあり、撮影・視聴に用いるカメラを自由に選択できますが、現在実施しているインタビューではほぼ全て、360度カメラを使って撮影・視聴を行っています。
その理由の一つに挙げられるのは、「リモートでの視聴にも便利」という点です。
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが進んだことや、感染防止対策の一環としてバックヤードでインタビューを視聴されるご来場者人数を少なくしていることによって、リモート環境でインタビューの様子を視聴するケースが日常的になりました。リモートでインタビューを視聴されるお客様からも、「対象者の表情を見たい」というご要望をいただきます。
360度カメラの映像をミーティングルームで視聴するだけでなく、Zoomなどのオンラインアプリと組み合わせて使用することによって、お客様に映像・音声を中継し、リモートでも発言者の識別や表情を見ることが簡単に行えるようになりました。従来にはできなかったことで、リモート視聴をされるお客様からも360度カメラは大変ご好評をいただいています。
オフライン定性調査におけるインタビューのスタイルは、長い間、大きな変化が見られませんでしたが、新型コロナウイルス感染の影響で変革期を迎えています。新しい技術やツール、システムも、変化を加速させるものであり、この360度カメラも、これからの定性調査スタイルの新しいスタンダードを作る重要なツールになっていくと期待しています。
360度カメラで撮影した映像を短い動画でご紹介します。発言に反応してカメラが自動的に切り替わり、分割表示する様子をご覧ください。メンバーが着用している「透明マスク」をテーマに、ディスカッションをしています。
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