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自主調査

コロナ禍で生活はどう変わった? ~n=1からみる令和の新ライフスタイル~  自主企画インタビューから見えた生活者のすがた  連載第1回 働き方

2022.04.04
株式会社インテージクオリス リサーチ&インサイト部 五十嵐 優美

働き方に影響を与えた要因は何か?

今回の自主企画インタビューのきっかけ

新型コロナウィルスの感染拡大が始まって2年程が経ちました。テレワークの推進、密を避けた行動、外出自粛や消毒など、今までほとんどの人が経験しなかった変化が一気に押し寄せました。今後もこの状況は続くと予想され、生活者の行動や意識は変わっていくでしょう。そこで、インテージクオリスでは生活者それぞれで、どんな変化が起こり、なぜ変化したのか、そしてその変化は新型コロナウィルスの感染収束後も定着するものなのか、1人の生活者の行動や気持ちを理解することで今後の生活がどのようになっていくかを考えるきっかけとして、複数の方にオンラインインタビューにご協力いただきました。今回はAさん(20代・男性)にお話を伺ったときのことを記事にさせていただきました。

新型コロナ感染拡大後に変化した生活

Aさんは、千葉県で奥様と二人暮らしをされており、通信関連の営業担当として働いています。最近ペットとして猫を飼い始めたそうです。まずは、Aさんが新型コロナ感染拡大後に変化したことを伺いました。下記の項目について変わったそうで、それぞれにお話ししていただきました。

お話を聞いていく中で「在宅勤務」と「時間の使い方」がAさんの生活を変化させたポイントなのではと考え、さらに深掘りしていきました。

テレワークで自由時間を確保

Aさんに働き方について伺うと、このようなことをおっしゃっていました。

また、会社での飲み会に対しては、職場の人間関係を円滑にするなどある程度のメリットは感じて参加していたものの、感染拡大後にそれがなくなっても特に困ったことは起きなかったため、今まで惰性で飲み会をしていたことに気づきました。

さらに、感染拡大前は年を重ねることによる体力低下を防ぐためジムに通っていましたが、マスクをしながら行うと酸欠になるとのことで、ジムに行くのをやめてしまいました。しかし、義務感で行っていたように思うところもあったらしく、ジムに行っていた時間は、もっと純粋に自分が楽しいと思えることに費やせる時間になったそうです。

プライベート時間を家族と過ごすことが増え、趣味も一段と楽しめる生活に

では、増えたプライベートの時間をAさんはどのように活用し、どういった心境の変化がうまれたのでしょうか。

新型コロナ感染拡大前から動画配信サイトで映画をみることが好きで、電車通勤の時間に一人で見ていました。そんな電車通勤もなくなり、プライベートの時間が増えたことで奥様と一緒に映画を見ることが多くなったとのことです。

プライベートの時間が増えたことに気づいたときに、テレワークが始まった当初は奥様と「何か一緒にできることはないかな」とよく話し合っていたそうです。そうやって毎日を過ごしていくうちに、新型コロナ感染拡大前ではなかった「QOL(クオリティオブライフ)」の向上を感じていることをお話しされていました。

コロナ感染拡大後に変化した生活が、QOL向上につながった要因

Aさんに伺ったお話しを振り返ると、コロナ禍で外出や人付き合いの点で抑圧された方がいらっしゃる中、Aさんは変化した生活をポジティブに楽しんでおられます。

要因として「通勤、残業や職場の飲み会に起因してプライベートの時間が少ないことで感じていたストレスや不満から解放され、時間に余裕のある生活を送ることができるようになったことで、家族と過ごす時間が増えた」ことがあるのではないかと考えました。ここでの「時間に余裕のある」は「〇〇をしなくてはならないという義務感のない時間」で、何の制約もなく自由に使える時間のことだと考えられます。

アフターコロナの生活について

インタビューの後半にアフターコロナの生活がどうなっていくのか伺いました。

Aさんは、人付き合いやコミュニケーションの方法が新型コロナ感染拡大前に戻り、飲み会や離れて暮らすご親族とのお付き合いが以前のように行われるだろうとおっしゃっていました。

働き方についてはテレワークでの勤務はあるものの、フルリモートでの勤務は少なくなり、また以前のように通勤時の満員電車に苦しめられるのではとのことです。
現在の勤務先では、今のままではフルリモートの仕事は減っていきそうであるため、自分が感じたQOL向上を優先して、働き方を見直したいと思い、今後は勤務場所を問わずフルリモートワークができる仕事に就くことも検討しているそうです。

感染拡大前には当然のことだと思っていたプライベート時間の少なさと、感染拡大後に変化した生活を比較したことで、時間に余裕を持つことの快適さや豊かさに気づけき、今後の人生の進め方を考えるきっかけになったのではないでしょうか。

Aさんのインタビューから、

  1. コロナ拡大前から不満に思っていたことがコロナ禍で顕在化、社会的全体での変化もあり自分で改善できるようになった。
  2. 1日の生活において働く時間が多い中、「義務感のない趣味に費やせる時間」の大切さや過ごしやすさに気付き、今後の働き方の考え方にも影響を与えた。

という意識がうかがえ、今後もポジティブに充実した日々を送っていかれるのではないかと思います。

インテージクオリスでは、今後も生活者を深く理解する取組を行っていきます。

今回の分析は下記の設計で実施した株式会社インテージクオリス・株式会社インテージの共同自主企画の調査結果を元に行いました。

  • 調査主体:株式会社インテージクオリス・株式会社インテージ
  • 調査実施日:2022年1月~2月
  • 調査対象者:国内(主に首都圏)在住の20~60代男女10名
  • 調査手法:デプスインタビュー(オンライン)※WEB環境を利用し、会場に集まらなくても任意の場所からオンラインでインタビューを行う手法です。自宅でインタビューを行うケースが多く、リラックスして参加できるので、よりリアルな消費者の声がみえてきます。

インタビューに先立ち実施したアンケート調査結果に関する記事も掲載していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事リンク】

コロナ後も変化が定着すること1位は「働き方」 ~コロナ以前に「戻るもの」「戻らないもの」は?~  https://www.intage-qualis.co.jp/magazine/archives/2194/

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