リサーチ知識
マーケティングリサーチの手法の一つである定性調査とは、「生活者の気持ちやその背景を探り、理解する」調査です。(よくわかる「定性調査」の記事はこちら )
定性調査から有益な結果を得るためには、すべての工程の基礎となる明確な目的や課題の設定、つまり最初の工程である「調査企画」が非常に重要となってきます。
本記事では、インテージクオリスが実際に行っている調査企画の流れやノウハウについて、わかりやすく解説していきます。
定性調査を実施する工程は、大きくは次の5ステップがあります。
今回ご紹介するStep 1の調査企画は、調査結果の活用価値を大きく左右する大事なステップです。この調査企画のステップで何を検討しなければならないのか、以下のケースで考えてみましょう。
上記のケースの場合、A社が達成したいのは「ハーブティBの売り上げを伸ばす」ことです。そして、データや調査の結果から、まずは「新規ユーザーを獲得できていない(トライアルが少ない)」課題を解決する必要がありそうです。
A社のマーケティング担当者は、この課題を解決するために、商品の特長である「食事に合う」ことが伝わるようにパッケージとコミュニケーションを変える必要があると考え、調査会社に相談することにしました。
この場合、調査会社の担当は何を検討し、どんな調査企画を立てるのか、例をご紹介します。
マーケティング担当の方の多くは、「売り上げを伸ばしたい」や「ブランドを強化したい」などの問題意識をお持ちではないでしょうか。このような抽象的な問題意識や課題を具体化していくために 調査企画の際に考えなければならない内容は、次の3つです。
そもそもなぜこの調査が必要なのか?を整理します。
「調査企画」と言っても調査のことだけを考えればいいというわけではありません。まずはマーケティングによって最終的に達成したいことと、そのために解決しなければならない課題を考えます。その際に、「現状どうなっているか」とその原因を、データや調査結果などのファクトに立脚して考えることが重要となります。
この調査で最終的に明らかにしたいことは何か、そのためにはどんな情報が必要なのか、を分解して考えます。ハーブティBの例で見てみましょう。
調査を企画する際には、「明らかにしたいこと」をネクストアクションに進むために必要なことと結び付けて調査目的としてまとめていきます。上記の例では、「トライアル増に向けた、リニューアル案の受容性検証」となるでしょう。
また、上記の例で挙げた、「パッケージやコミュニケーションのコンセプトはどのように評価されたのか、高く評価された点やそうでなかった点は何だったのか」などは、受容性有り・無しに対して答えを出すために検証が必要な調査課題として整理していきます。
ここまで整理をしたら、お題に対して答えを出すためには誰からどのようなお話を聴く必要があるか、を考えていきます。
また、ハーブティBの例で見てみましょう。
調査目的や知りたいことに合わせて、フォーカス・グループインタビューやデプス・インタビューなどの調査手法を選択します。
(インテージクオリスの調査手法一覧はこちら )
調査目的と調査課題に対する答えを得るために、適切な対象者を集める必要があります。調査課題に合わせて”どんな人にどんな話を聞きたいか”から逆算して考え、条件化していきます。
<条件化の例>
また、ハーブティBの例に戻りましょう。
対象者を集めることを「リクルート」と呼びます。リクルートには、WEBアンケートを配信し回答内容を精査して人を選ぶWEBリクルートや、人の紹介を通じて条件に合う人を探す機縁リクルートがあります。
他にも、どのようなスケジュールで行うのか、どのくらいの予算で行うのか、などを決めていきます。
今回は、定性マーケティングリサーチにおける「調査企画」の流れやノウハウについて解説しました。
調査企画は、調査を進めるだけではなく、調査後最終的に達成したいこと・マーケティング課題を解決するための基礎にもなる重要な工程です。なんとなく定性調査をやってみようではなく、まずは目的や課題をしっかり整理することが成功へのカギではないかと思います。
インテージクオリスでは、この調査企画からお手伝いをさせていただいております。
マーケティング担当の方が抱えている課題を解決する上で必要な調査結果を導き出すために、インテージクオリスでは本記事でご紹介したような視点からご提案しておりますので、「こういう課題があるけど、ここからどのように進めてよいかわからない」「こういう仮説を立ててみたが、どのような調査設計にすればよいかわからない」など、調査企画段階からお困りでしたら、ぜひお気軽にお問合せください。
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